司法書士事務所の選び方

　最初の段階で、費用の見積りを具体的な数字で回答する事務所をおススメします。

　どの事務所に依頼しても報酬は発生しますので、その費用に納得して依頼できる、ということは大事です。

「サービス内容の割に報酬が高い事務所」には頼みたくないと考えるのは当然のことだと思います。（現在は報酬自由化により、事務所毎に司法書士報酬は異なります。）

　一方で、「最低報酬額として提示している金額が安い」ということのみを基準に事務所を選ぶこともあまりおすすめしません。

「●●登記　○万円～」と報酬を表示している事務所は多いですが、この「～」がクセモノであることが多く、皆様それぞれのご事情によって、追加料金が発生する事務所がほとんどです。

（このような表示の事務所（のほとんど）は決してボッたくろうと思っているわけではありません。依頼内容によって仕事量や責任負担などがまったく異なってきますので、やむを得ない部分があります。）

　司法書士事務所によって最低報酬で提供するサービスの範囲は異なりますので、戸籍や住民票を集めるのに追加報酬、遺産分割協議書や株主総会議事録を作成するのに追加報酬、登記する不動産の価格が高いから追加報酬…と、『結局、後からいろいろと請求されて、高くなってしまった…』なんてことは、報酬が不明確な事務所ではよくある話です。

「最低報酬額」が安い事務所であったとしても、皆様の依頼する手続が最終的に安く済むかは全体の見積もりを貰うまで分からないのです。

　それぞれ事情が異なるからとは言っても、報酬や全体の費用について具体的な数字を回答してくれない事務所に対しては、やはり頼みづらいかと思います。

　ですので安心して依頼するためにも、最初の段階で皆様のご事情やご依頼いただく範囲をある程度ヒアリングしたうえで、全体的にかかる費用の見込みを具体的な数字で回答してくれる事務所をおすすめします。

　ご自身の生活の中で、相談に行きやすい立地の事務所を選択されることをおススメします。

　相談や書類の受け渡しなどで、最低２回以上は事務所にご来所いただく場合が多く、遠すぎる事務所やアクセスの悪い事務所ですと、皆様の負担が増えてしまいます。

　また、高齢等で階段が大変な方が事務所に行く（可能性がある）ときは、エレベーターの有無等も確認しましょう。

※　アクセスの良さも、ご自身の事情から変わってきます。

　一見アクセスの悪い事務所であっても、次のような場合は、実際にそれほどご負担がないです。

【例】

・駅から遠い事務所

　→　近隣に駐車場があり、自家用車で行く　等

・自宅最寄駅ではない事務所

　→　通勤途中の駅近くにあり、夜間（会社帰りの時間帯）でも対応　等　

　逆に、「不動産や会社の所在地が遠方だから、現地の事務所に依頼しなければいけないんじゃないか」と考える方がいらっしゃいますが、現在の登記手続き（不動産・会社ともに）はオンライン申請が導入され、日本全国（北海道から沖縄まで）対応可能です。事務所の立地については、「自分が通いやすい場所であること」を重視してください。

　最初に、相談しやすい印象を持たれた事務所を選択される方がおススメです。

　問い合わせをした際の電話やメールで感じた印象は、皆様重視されるポイントです。

　感覚的に良い印象を受けなかったり、問合せに対する回答が遅いような場合は個人的にあまりおすすめしません。

　相談を受けた司法書士が、その分野に係わる業務知識が乏しく不安であったり、依頼を受任すること自体に乗り気ではないような場合は、皆様が感じる印象も良いものにはならないことが多いです。当然ながら、良い仕事を期待することも難しいでしょう。

　しっかりと時間を取って皆様からお話を聞き、「何か良い解決方法を提案できないか」と真剣に考えている司法書士は、例えその時点では業務知識が不足していたとしても、皆様の印象も良く、きちんと調べながら最終的に満足度の高い仕事をしてくれることが多いように思います。

（統計データ等の裏付けがあるわけではないので、あくまで私見ですが（汗））

・休日や夜間にしか時間が取れない方は、業務時間外の対応をしてくれるか、事前に確認しましょう。

（ほとんどの司法書士事務所の営業時間は、平日の日中です。）

・当然のことですが、ちゃんと登録した資格者（司法書士・税理士・行政書士など）が相談対応する事務所を選びましょう。

（中には全て無資格（未登録）のスタッフに任せているような事務所も存在します。）